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組織改革で商業捕鯨再開できるか 10日からIWC総会<朝日新聞デジタル>2018年9月5日17時20分

 2年に1度開かれる国際捕鯨委員会(IWC)の総会が10~14日、ブラジル・フロリアノポリスで開かれる。日本は商業捕鯨の再開とともに、組織の改革を提案している。半世紀ぶりに日本から選ばれた森下丈二議長のもとで、IWCの役割を問い直す会合になりそうだ。

商業捕鯨の再開をめざす日本が考えているのは、捕鯨容認派と反捕鯨派がIWC内ですみ分け、意思決定できる組織をめざすというものだ。

具体的には、総会で4分の3の賛成を必要とする重要な意思決定を、事前に「持続的利用」や「保護」など目的別の委員会で異論なく合意していることを条件に、過半数でできるようにし、決定は賛同国に限って適用する。

ミンククジラなど、資源が豊富な種類に限った商業捕鯨モラトリアム(一時停止)解除と合わせて一括提案して、合意をめざす。

だが、商業捕鯨の再開を含む内容が幅広い支持を得るのは厳しい情勢だ。水産庁によると、IWC加盟89カ国のうち、クジラの持続的利用を支持するのは、日本をはじめ、東アジアやアフリカなどの41カ国。反捕鯨国豪州や欧米を中心に48カ国あり、IWCはクジラの保護機関としての性格を強めている。

開催国のブラジルは「商業捕鯨はもはや不要である」として、保護に予算を重点配分するよう求める「フロリアノポリス宣言」の決議を提案している。

日本では昨年、調査捕鯨を実施する国の責務を明記した「鯨類科学調査実施法」が議員立法で成立。老朽化している捕鯨母船の新造も検討しており、将来の捕鯨のあり方を示す必要がある。IWC改革が進まなければ、脱退論が強まる可能性もある。(山村哲史)

国際捕鯨委員会(IWC)総会の議長になった森下丈二・東京海洋大教授に、課題や展望を聞いた。

――IWCの課題をどう考えていますか。今後も国際社会で役割を果たしていけるのでしょうか。

日本ではIWC不要論もあるが、いわゆる反捕鯨国のかなりの部分では役に立っている。例えば、IWCを通じてクジラが漁業に混獲される問題への対応やホエール・ウォッチングのガイドラインの作成などが行われている。そこに日本などクジラを資源と見なす考え方との間にギャップがある。

ギャップがなぜ生まれるのか。クジラと捕鯨に関する考え方が全く二つに割れているためだ。捕鯨に反対している立場の人たちにとっては、クジラを何があっても守ることが環境保護のシンボルになっている。

捕鯨はいっぱいあるクジラの脅威のうちのひとつにすぎず、気候変動海洋汚染、海中騒音、漁業での混獲といった、そのほかの脅威の方が圧倒的に多い。それらは国際的な問題なのだから、きっちり扱うのがIWCだろうと考えている。組織名に「捕鯨」とついているが、世の中は変わったんだ、という主張だ。

一方、日本からすると、クジラを資源として守ることには異論はないが、豊富なクジラだけは使わせてくれと主張している。いまのIWCは捕鯨を認めないので、機能を果たしていないと見える。立場の違いによって、明らかに見え方や役割がまったく違っていて、大きなギャップを抱えた国際機関だというのが、現状の公平な見方ではないか。

そういう認識の中でIWCがどうあるべきかを考えないと、お互い主張する本当の意味が見えてこない。どっちがいい、悪い、とやりだすと相手を責めて、否定して終わりになる。

――新しい役割を果たせる可能性はありますか。

私は逆の発想をしていて、IWCが必要か否かではなく、いま世界にとってクジラを利用、保護するための国際機関は必要かを問うのが本当の課題であって、答えは「必要」だ。

クジラを捕獲する方からすれば、アイスランドでもノルウェーでも、規模はともあれ、クジラを捕る活動は将来も残ると思える。アメリカも立派な捕鯨国だし、将来食糧難になれば、新たにクジラを食べようと思う国が出てきても不思議ではない。捕鯨が続くとすれば、捕鯨国にも資源の維持は必要。クジラは広く回遊するので、捕獲を管理する国際機関は必要だろう。

他方、地球温暖化だとか海洋汚染とかのクジラへの脅威も存在する。それに対してIWCは役割を果たせるか、果たす意思があるか。加盟国がいまの枠組みが最適なものと考えるか。そういう視点が必要だ。

答えがイエスだとすれば、どうしたらいいのかを話し合うのが今回のIWC総会で必要なことだと思う。その時に、いまのままのIWCがその利用の管理と保存の両方の役割を果たせるかどうか。もう1回立ち返って話し合うのが今回のIWC総会だと思う。

――日本は、持続的利用派と反捕鯨派がIWCの中ですみ分けるような改革案を出しています。

日本提案についての水産庁の説明でも、前から私が使っている「離婚寸前の夫婦」の例えを使っていた。

考え方が違ってしまった2人がいる。家の中に仕切りをつくって、同じ屋根の下で住むのか。それで一切顔を見ないで済まそうねというやりかたもあるかもしれない。それができなければ、屋根(家)を二つに分ける。日本提案は家の中に線を引く(仕切りを設ける)方式だ。そのかわり、家の中は模様替えしないといけないかもしれない。

偶然か、今回は「フロリアノポリス宣言」という提案がブラジルからある。「IWCは変わった。クジラの保護だけに専念しましょう」という内容だ。問題意識は日本提案と同じで、IWCの存在の仕方、目的に対して双方から提案が出てきた。

――フロリアノポリス宣言は、捕鯨国はIWCから出て行けと言うことにはならないのでしょうか。

これも私がよく使う例えだが、我々はサッカーしようと思って部活に入った。だが、だんだん世の中がかわってきた、いまはもうバードウォッチングだと部員が言い出した。あるとき気がついたら、みんなバードウォッチングをやっていて、いまごろサッカーの話なんかしているのかと言われて、部の規則ももう1回考え直さないといけないねとなった。

投票したら、みんなが投票したのはバードウォッチングだった。それでも部にとどまってバードウォッチングをやるのか。そこでサッカーを続けるのか。あきらめて、外にサッカー部をつくるのか、これを問うことだと思う。

――ふつうは外にサッカー部をつくるのでは。

ですよね。バードウォッチングをしている人からすると「なにを野蛮な」となるだろうが、サッカーをする人にとっては決して悪いことをしているつもりはない。サッカーをやっている人はほかにもいる。サッカー部はなくなってもやる人はいる。じゃあどこかにサッカー部をつくるということになる。

――同じ場所を使うには調整が必要になります。

相互尊重だとかルールがないといけない。同じクジラをあつかうと、どこかで調整は必要だと思う。日本の関係者、政府も含めて、脱退とかいろんな話が出ているが、そこで終わりではなく、そこから始まる。脱退したらすべてうまくいって、捕鯨ができるかと言えば、できない。

新しいルールづくりなど、飛び出した先でどこに着地するか、着地した後どうするかを考えないといけない。結婚式と同じで、ゴールインではなくてスタート。もう少し慎重に、そのあと何をどうするのかを考えておかなければいけない。

過去にも、(日本の関係者も加わって)国際的なNGOが第2のIWCをつくる提案をした。それ以後は鳴かず飛ばずで、持続的利用を支持する国も、のりかねていた。その頃に比べると、いまはもっと機が熟している。

――総会で議論をまとめる手ごたえは。

4年前に話し始めたときに比べると、加盟国の中でも鍵になる国々はことの重大さには気づいている。それまでは重大な問題を正面から議論しようとしなかった。過去のすべての「和平交渉」がつぶれた理由はそこにあった。

持続的利用の国、反捕鯨の国がこれだけいて、通常の外交交渉でまとめようとすると、双方の立場のまんなかの妥協案をつくる。それをIWCでやると、鯨をとらせない海域と、とる海域をつくる形になり、妥協案には必ず何らかの捕鯨が入る。だが、そうなった瞬間に全部つぶれてきた。強硬な反捕鯨国が1頭たりともとらせないとなると、あらゆる妥協案を探る交渉はほぼ間違いなく失敗する。

今回の日本案は、妥協案を提示するのではなく、IWCをどうするかというのを問題提起しているのが斬新なところだ。

――クジラは環境保護のシンボルとしての存在感が高まっています。

クジラはカリスマ動物と言われる。もともとは保全生態学で、生態系の鍵になる動物という考え方があったが、だんだん生態系での役割は別にして、注目を引きやすい動物が取り上げられるようになった。

カリスマ動物はロゴのようなものと言える。例えばパンダはだれでも知っている。おまけにかわいい。みんなが寄付をする。それを使うことで、予算がつきやすいということもある。

例えば、絶滅が危惧されているカナダの山奥にいるかもしれないカエルと、クジラを比べると、エネルギーやお金がみんなクジラに行ってしまう。歴然とカリスマ動物はアピール度があるのは、認めざるを得ない。そんなのおかしいといっているだけでは議論できない。

捕鯨を巡るこれまでの主な動き

1948年 国際捕鯨委員会(IWC)設立。日本は51年に加盟

1982年 IWCで86年からの商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を決定

1987年 日本が南極海での商業捕鯨から撤退し、調査捕鯨を開始

1994年 IWCが南極海にサンクチュアリ(禁漁区)を設定

2010年 豪州南極海での日本の調査捕鯨は違法と国際司法裁判所(ICJ)に提訴

2014年 ICJが日本の調査捕鯨の中止を求める判決。日本は調査捕鯨を中止

2015年 日本が新計画で調査捕鯨を再開

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